50m自由形が後半落ちる理由 ― 入水の角度でローテーションを変える

2026年11月3日火曜日

フォーム・ドリル解説

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フォーム・ドリル解説、今回のテーマは50m自由形です。

前半は気持ちよく飛ばせたのに、後半で急に体が重くなる。

ストロークがバラバラになって、ゴールに着く頃にはヘトヘト。

これ、経験ありませんか?

実はこれ、根性や気合いの問題ではないんです。

オーストラリアの指導者チャンネル「Swim With Milo」の動画で、とても分かりやすい説明をしていたので紹介します!

Miloは五輪メダリストで世界王者の経歴を持つ指導者で、短い動画でスプリントのコツを発信しています。


入水の瞬間を水中から見たところ。手が角度を持って前へ・下へ入っていきます。画像はイメージです

全力で泳げるのは「約17秒」まで?

Miloの説明は、こうです。

人間が全力で泳ぎ続けられるのは、だいたい17秒くらいまで。

そこを過ぎると、体の中に「酸」がたまってきて、速く泳ぎ続けるのが難しくなっていく、というのです。

50m自由形は、速い人でも20秒台、多くの人は30秒以上かかります。

つまり50mは、「全力で押し切れる時間」を必ずはみ出す種目なんです!

後半に落ちるのは、あなたが弱いからではありません。

体の仕組みとして、誰にでも起きることなんです。

(Miloはこの「酸がたまる」感覚を、ミトコンドリアの働きに例えて説明しています。厳密な生理学というより、コーチが選手に伝えるための例えとして受け取ってくださいね)

@swimwithmilo 50m Freestyle Tips: Hand Entry, Rotation & Energy Management

対策1:泳いだ後のウォームダウンで「流す」

1つ目の対策は、レースや練習で全力で泳いだ後の過ごし方です。

Miloがすすめるのは、止まって休むのではなく、ゆっくり泳いで「酸」を流すこと。

軽く泳ぐことで体がリセットされて、また速く泳げる状態に戻っていく、という考え方です。

全力の50mの後に、プールから上がって座り込んでしまうのは、実はもったいないんです。

次の1本のため、レースの次の種目のために、少しだけゆっくり泳ぐ時間を作ってみてください。



全力を出した後は、止まらずにゆっくり泳いで流します。画像はイメージです

対策2:泳いでいる最中に「ローテーションで時間を稼ぐ」

2つ目は、泳いでいる最中の工夫です。

後半で苦しくなってきたら、ほんの少しだけペースを落として、体の回転(ローテーション)を少し増やしてみる。

Miloはこれで「時間を稼げる」と言います。

無理に力で押し続けると、酸はたまる一方です。

少し落として回転を増やすと、体の軸の周りに体が回る力を借りて進めるので、力を温存しながら進み続けられます。

「落とす」と言っても、止まるわけではありません。

頑張り方を変える、というイメージです!



体が軸の周りに回転(ローテーション)している自由形。片方の肩が上がり、呼吸がしやすくなります。画像はイメージです

ローテーションの量は「手の入水角度」で調整できる

ここが今回いちばん面白いところです。

ローテーションの量は、手の入水の角度で調整できる、とMiloは言います。

  • 60度で入れると、手はその角度のまま前へ・下へ進んでいき、プル(かき)にぐっと入っていく。回転は抑えめになります
  • 45度で入れると、回転が少し増えます

どちらが正解、という話ではありません。

60度は「かきでしっかり進みたいとき」、45度は「回転を借りて楽に進みたいとき」。

後半で苦しくなったら、入水を少し浅い角度にして回転を増やす。

そんな使い分けができると、50mの後半の泳ぎ方が変わってきます!

試してみるなら、こんな感じで

ここからは、私たち編集側からの「試し方」の提案です。

まずは25mで十分です。

1本目は、いつも通りの入水で泳いでみてください。

2本目は、入水の角度だけを少し浅く(45度のイメージ)して、体がいつもより回るかどうかを感じてみてください。

タイムより、「後半の楽さ」がどう変わるかです。

そして全力で泳いだ後は、すぐに止まらず、そのままゆっくり泳いで流すところまでを1セットにしてみてください。

角度の数字は、あくまで目安です。

手首を測りながら泳ぐ必要はありません!

「深く入れる日」と「浅く入れる日」で、体の回り方が変わる感覚がつかめれば大成功です。

まとめ

50m自由形の後半失速は、体の仕組みとして誰にでも起きます。

だからこそ、対策は「もっと頑張る」だけではありません。

泳いだ後は、ゆっくり泳いで流す。

苦しくなったら、少し落として回転を増やす。

その回転は、手の入水角度で調整できる。

この3つを知っているだけで、50mの後半がずっと楽になりますよ!

次の練習で、ぜひ試してみてください。

一緒に、泳ぎましょう!

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プロフィール

東 翔(あずま しょう)

OWS(オープンウォータースイミング)元日本代表。湘南オープンウォーター10キロ6年連続制覇、津軽海峡単独横断を達成。現在は特定非営利活動法人バブルリング理事長として、子どもから大人まで、楽しく安全に泳げる場づくりに取り組んでいます。

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